そうめんよりラーメン派

こんなブログ名ですけどスマブラのこと書きます

ボストンのH0P(ホップ) その②

3行でわかる前回のあらすじ

・そんなこんなで1人でアメリカへ向かうことに

・しかも海外旅行は実質経験ゼロで超不安

・そして飛行機の乗り継ぎが間に合わなさそう

 

h0pfalco.hatenablog.com

 

 飛行機の窓から小さな建物が見えてくる。準備を整えた。Apple Watchは9:10を示している。着陸にはもう5~10分程度かかるだろう。乗り継ぎの便は10:25発、そして移動に必要な時間は約85分。残された時間は殆どない。僕の座席はかなり後ろの方だが、シートベルトのサインが外れたら真っ先に人混みを進んでいくしかない。

地に足を着けた飛行機は、どんどんそのスピードを緩めていく。そして、窓から見える景色が変わらなくなった。
覚悟を決めたその時、日本語のアナウンスが入った。

 「そんなものを聞いている暇はない、さっさと通せ」

というわけにもいかないので、おとなしく聞いていると、

 「只今、現地時刻は8:09でございます」

 ……へ?

 ものすごいスピードで全身の力が抜け落ちていく。今のは確かだろうか?はちじきゅうふんと聞こえたんだが。聞き間違いじゃないだろうか。
 …いや、多分嘘じゃない。思い出した。
確かアメリカはその広さから、4種類ほど時差が存在しているんだった。だからApple Watchの世界時計が示すワシントンD.C.と、時刻が一致していない可能性だってある。

 ちなみに、乗り継ぎで使う空港はテキサス州のダラスにあるのだが、この写真を見れば、今回のような現象が起きた理由がわかるはずだ(後で気づいたことだが、iPhoneの時計アプリから、世界時計に国だけではなく、都市も追加できるのだ。もっと早くこれに気づいていれば…)

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  つまるところ、予定時刻の8:40より約30分早く到着したのだ。時間の猶予が増えたのは、とりあえず喜ばしいことだ。

 しかし、それで緊張が完全にほぐれた訳ではない。まだ入国審査を終えたわけではないのだ。もちろん予習はしてきたが、それでもどんな風に行うのか、何を聞かれるのかはやってみないとわからない。

 かばんに税関書(アメリカ入国時に必要な書類。飛行機の中でもらえる。今回は着地の1時間~30分ほど前に渡された)が入っているのを確認し、僕は席を立った。


 飛行機を降りて真っ先に目に入ってきたのは、見渡す限りの英語、英語、英語。アメリカに辿り着いたのだと実感させられた。
しかし、そこから「先」へ行くためには、入国審査、そして乗り継ぎという壁を超えなければならない。ボストンという「先」へ向かうためには。

 かくして、ここダラス空港にて、僕にとって初めての入国審査、および乗り継ぎが始まった。

 とにかく周りの人たちについて行くように歩いて行くと、VISAとESTAで別々のルートを通るように指示された。どちらも米国へ入国を希望する際に必要な権利で、ESTAというのはビザ免除プログラム(ビザなしで90日以下の入国ができる)に基づいた電子渡航認証システムで、入国前に申請、取得する必要がある。要はどちらかを取っていればいいわけだ。

 僕はESTAを取得していたのでそちらの列に混ざった。すると見渡す限りの機械、機械、機械。いわゆる審査官らしき人の姿はどこにも見えない。

 ESTAを用いた2回目以降の入国は、このAPC KIOSKという機械を使って入国審査を行える。これを使えば手続きがより簡単になり、しかも税関書が必要なくなる。

 しかし、昨今ではESTAを使って初めて入国する人も、APC KIOSKを使用することができるという話をちらほら聞いていた。半信半疑だったが、直感でわかった。少なくともダラス空港に限っては、この話は本当だ。

  一連の手続きを済ませるのに精一杯で、ゲートにたどり着くまで殆ど写真を撮れていないのだが、APC KIOSKについてちょうどいい記事があったので、ここに載せておく。

flyteam.jp

 

 APC KIOSKでは税関書と同じような内容を確認したり、写真を撮影したり、片手の親指を除いた4本の指(僕は右手にした)の指紋をとったりした。APC KIOSKから印刷された紙とパスポートを取って、指示通りに移動。すると待ち受けていたのは、いかにも強そうってオーラがむんむんしてるガタイのいい黒人のおっさん。ちょうどこんな感じの人だった。

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 並んでいる時から、見た目に気圧されてしまう。しかしここを通るには避けて通れない。

 …と思っていたが、よく見るとその人、検査の合間にスタバのコーヒーを飲んだり、お菓子を食べたりしているぞ!

 このような光景、今の日本ではまず見れないといっていいだろう。あったとしても、間違いなくそこら辺の誰かがクレームつけにくる。

 しかし、僕はその光景を見て、少なくとも彼がここは通さねえとばかりに突っ立つ用心棒ではなく、仕事だから仕方なくここに立っている人間なのだと理解できた。

 そうだよなぁ。仕事でやってるんだもんなぁ。忙しいよなぁ。合間にスタバくらい飲みたいよなぁ。中身なんだろ。

 彼の人間性を垣間見れたことで、ほんの少し緊張が和らいだ。しばらくして、こっちへ来い、と手で合図された。自分の番になる。

 その人の目の前に来ると少しの静寂があった。その一瞬の間(ま)が怖い。何をすればいいのかよくわからなかったが、とりあえずパスポートを渡そうと思い、搭乗券と一緒に差し出した。するとその人が英語で話した。

 "#*=「○÷○☆"

 

 はい???


 わからん!わからん!!わからん!!!

 現地のネイティブの英語は、日本で聞くそれとは全くの別物ということは知っていたが、その人が低い声でボソボソと話すのも相まって、僕の理解を超えた呪文のような何かになっていた。(ネイティブ特有の早口)って感じだ。
 戸惑っているともう一度話しかけてきたが、そこで"four"という単語が聞き取れたため、そこで指紋をとるということにたどり着けた。さっきAPC KIOSKでやったのと同じ、親指以外の4本指だ。

 右手の4本指を指定の場所へかざし、それが終わると、その人はまた一瞬だけ喋った。なんとなく親指のことかな、と思ったので、サムズアップしてみせると、相手は頷いた。
 そこからジェスチャーを使ったり"four?" "thumb?"と聞き取れた単語を言って確認しながら、左手も同じように2回に分けて指紋をとった。
 続いてカメラで写真を撮った。ジェスチャーと共に"Glasses"と言われたので、眼鏡を外した。
 それらが終わると、パスポートにハンコを押してくれた。中〇家のモノマネのイメージと違って、きっちり丁寧に押してくれた。
 ハンコを押したパスポートを渡され、もう通っていいと合図された。なんとなくお礼を言いたくなったので、カタコト気味ながらも"Thank you"と言ったら、笑顔で頷いてくれた。

 その笑顔が本当に本当に嬉しくて、ものすごく僕の印象に残っている。勇気が湧いてきた。この先もきっと大丈夫だという気持ちがこみ上げてきた。
 ハンコを押してくれてありがとう。楽しんでくるね、アメリカ。

 そう心で返して、僕は次の場所へ向かった。


 入国審査を終えた後は乗り継ぎ便のゲートに移動してボストンを目指すのだが、その前に手荷物を預け直さなければならない。乗り継ぎを厄介に感じていたひとつの理由で、アメリカではスーツケースの扱いが雑だ、スーツケースが盗まれることもあるなんて話を聞かされたものだから、余計に不安が強かった。
 荷物の受け取り口へ移動すると、それぞれモニターに対応する便が表示されていたので、移動は楽だった。スーツケースも問題なく受け取れた。しかし、手荷物を預ける場所がわからない。すると後ろから日本語が聞こえる。それも誰かに説明するような口調だ。これは、まさか!
 そう、日本語が話せるスタッフさんがいたのだ(日本人かはわからなかったけど、ペラペラだった)。なんとありがたいことか。もう少し日本語を話してもいいみたいだ。
 その人に聞いた通りの場所へ行き、スーツケースを預けることに成功した。担当の人に渡して、ベルトコンベアーに運んでもらう仕組みだ。

 その隣にモニターがあった。自分の便を確認する。僕が乗るのは写真の一番下の便だ。乗り継ぎはターミナルAの38ゲートへ向かえばいいことがわかった。

 そしてありがたいことに、ここにも日本語が話せるスタッフさんがいた(こちらもペラペラ)。日本からの便ということで配慮されたのかもしれないが、ともかく心強いに越したことはない。念の為確認をとり、次の場所へ向かった。

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 ダラス空港の国際線はターミナルDに到着する。ターミナルを移動する前に、まずはセキュリティチェックが必要だ。

 荷物検査は基本的に日本と似ているが少し異なるところもある。金属検査がより厳密なのだ。
 ベルトや時計を外し、iPhoneを取り出し、ポケットを空にし、靴を脱いで荷物は全てベルトコンベアーに。手ぶらの状態で金属検査の場所へ向かい、真っすぐ立ってポーズをとったままその体勢を数秒キープするのだが、そのポーズが非常に形容しづらい。下の画像から指先が天井を向くように手首を曲げ、両腕を頭の後ろまでもっていく、といった感じだろうか。

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 ポーズをとり終わると、5人ほどスタッフがいる所へ歩き(その風貌に威圧感があってこれまたちょっと怖い)、最終確認を受けた後、OKを貰えば検査が終わった荷物を回収できるという仕組みだ。

 次はターミナルAへ向かう。ターミナル間の移動に使うのはスカイリンクという、ターミナルを回る電車とモノレールを足して2で割ったような乗り物だ。乗車は無料。席はなく、つり革の上の部分の棒だけがある感じ(電車で背の高い人がたまに掴むやつ)だ。   このスカイリンクに乗って思ったのは、想像よりかなり速い。電車と比べてスピードは同等、加速は間違いなく上だ。本当にすぐに最高速に到達するので、最初はけっこうビビった。

 

 スカイリンクの到着先は、ターミナルごとにゲートの番号によって2種類に分かれている。目的地へ到着したところでスカイリンクを降り、少し歩いてターミナルAの38ゲートに到着した。

 こうして、時間内に入国審査、セキュリティチェック、移動を済ませ、乗り継ぎ便の時間に間に合うことに成功した。しかもまだ時間に余裕がある。

 ここまでスムーズに事が進んだのも、運転手さんはじめ、JALやダラス空港のスタッフさんの協力のお陰だ。僕は改めて、みんなに感謝した。

 そして、これから訪れるボストンへの期待と、既にそこに広がっているアメリカの光景に、目を輝かせるのであった。

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